なかがわりえこ

ぐりとぐらシリーズ/福音館書店
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梨木香歩

西の魔女が死んだ/新潮文庫
 本物の魔女だったおばあちゃんが死んだという知らせから物語は始まる。中学生のまいは、回顧するように2年前に思いを馳せる。中学に入りたてで、学校に行かなくなくなってしまったまいは、とりあえずと言う形でおばあちゃんのところに預けられる。そこで魔女とはどんなものか、どうしたらなれるのかを聞かされ、まいは自分でも実践してみることにする。魔女とは自然と共存し、予想の範囲にある困難を回避する術を持った人のこと。特別なことではないと、実際に自然にあふれた場所に住み、なかば自給自足の生活を送るおばあちゃんは語る。少しずつ少しずつ、まいは自分の世界をきちんと見られるようになっていく。
 読んだ初めのうち、かなり教訓めいた話のように思った。魔女の修行も特別なことではなく、早寝早起きから精神力のトレーニングが始まる。しかし自分で自分を律するという、簡単なようでいて実は最も困難なことを、さらりと「おばあちゃん」は語り、自然の力を借りる形で実践する。穏やかで優しい空気。それでも母と娘と孫の微妙なすれ違いがある。読後はさわやかながら、ほんの少し寂しい。