北条風奈

その宿命は星に訊け/角川ビーンズ文庫
 人と神が共に住んでいた時代、天帝神農氏に仕えていた薬師の岐伯は、腕を見込まれて天帝の弟の治める地に赴任する。平和に見えていた兄弟間に暗雲が立ち込めはじめ、岐伯は戦乱を回避すべく奔走するが…。
 素朴で研究熱心な岐伯と、そんな彼の友人たちの交流が温かく読めました。ただこの作者さんの文章は、読者の知識や読解力に頼って寄りかかってしまう向きが以前からありますね。私はあまり古代中国史に詳しくないので、細かい設定がわかりづらかった(勉強不足か…)。前半でもうちょっととっつきやすく解説を入れた方が良かったかなと思います。時代的にはこの話の後が封神演義に続くんですね。(2002.11.2)