J.K.ローリング
ハリー・ポッターと賢者の石/静山社
 両親を亡くし、叔父の家で冷たくされながら育ったハリーのもとに、ある日届けられた手紙。ホグワーツ魔法学校への入学許可証。ハリーが覚えていない両親は魔法使いであったというのだ。ホグワーツでの生活は驚きと冒険の連続。しかしとある人物の影がじわじわと及び始めていて…。
 今更あらすじを書く必要を感じない、超ベストセラーファンタジー。魔法学校の舞台設定や小道具にわくわくします。ハリー個人に関して、成長というよりもロールプレイングゲームのレベルアップ的なものを感じてしまってちょっと残念。(2002.12.30)
ハリー・ポッターと秘密の部屋/静山社
 やしきしもべ妖精のドビーが、夏休みを叔父一家とともに過ごすハリーの元へやってくる。彼は警告を携えていた。「ホグワーツに戻ってはなりません」。
 先に映画を見ていたため、映像で文章を補いつつ読みましたが、節足動物や爬虫類が苦手な人にはつらいかも。スリザリンと蛇をめぐるハリーの謎がまた一つ。(2002.12.31)
ハリー・ポッターとアズカバンの囚人/静山社
 悪名高い牢獄アズカバンから、凶悪犯シリウス・ブラックが脱獄する。ハリーを狙ってホグワーツに現れるかもしれないと噂され、学校の警戒態勢も高まるが。
 キャラ萌えに走ってしまいました…。DADA教師殿がツボにはまるはまる。腐女子は3巻親世代ではまる率高しと噂に聞いてはおりましたが。今回の話は名前を言っちゃいけないあの方との正面対決ではありません。あの方はもしかして7巻まで7連敗なのかと思っていましたが、さすがにそれはなかった様子。(2003.1.2)
ハリー・ポッターと炎のゴブレット(上下)/静山社
 クィディッチのワールドカップが開催された夜、強まる闇の陣営の力を見せつける事件が発生する。その影響の冷め遣らぬ中、新学期のホグワーツで久々に三校対抗試合が催される。
 魔法界の習慣や日常生活、学校のイベントが毎度のことながら楽しめます。4巻に至り、謎解きの伏線がこみいって来て、順に読んできた読者には驚きとともに嬉しい仕掛けの数々。主役とその親友がへこたれている中、ハーマイオニーの男前なかわいらしさが際立ちます。「成長」という観点から見ると、一番は彼女じゃないだろうか。ハリーも今回は最大の試練が待ち受けています。(2003.1.4/2003.1.5)



若木未生
グラスハート 熱の城/集英社コバルト文庫
 グラスハートシリーズ7冊目…8冊目? 相変わらず「平穏」という言葉と縁のできないテン・ブランク。対人関係に大きな変化が発生。この作者さんのざくざくと肉をこそげ落としつつも決して骨子をあからさまにしないような文体とキャラの口調は、この作品ではとても合っていると思う(オーラバスターでは正直言ってつらいけど)。音楽という、その場で鳴っている音だけが勝負の世界を小説で見事に書き表している。若者の群像ものとしても、切実で容赦が無くてよし。とりあえずラスト、朱音ちゃんの選択が気になります。(2002.5.31)