毎日新聞医療問題取材班
医療事故がとまらない/集英社新書
 近年繰り返して報道されるようになってしまった医療事故。これまで諾々と医師に従うことの多かった患者や遺族の医療に対する意識が向上してきたことや、インフォームドコンセントの認識の普及などに後押しされ、裁判件数も増えている。なぜ事故が発生してしまうのか? 食い止めることは出来ないのか? 事故が起こってしまったとき、医療側はどのように対処しているのか? 誰の身に起こってもおかしくない医療事故。その問題点と現状、そして対策への提言をわかりやすく解説している本。おすすめ。



牧野信也
イスラームとコーラン/講談社学術文庫
 日本人にはなじみの薄いイスラム教の成り立ち、その教えや抱えている二律背反を、コーランを軸に据えて解説した本。多少歴史的経緯を知っている人向けに思える。まずコーランを全篇読んでおくべきだった…。



正高信男
ケータイを持ったサル/中公新書
 若者のマナーや日常に眉をひそめ、どこかおかしいと思いつつも的確にその違和感を表現できない人におすすめする本。確かに言われてみればそのとおり、と納得することも様々。ケータイ文化の若者たちとのコミュニケーション論だが、「社会性」「家族性」に関してサル学者の視点から論じていて面白い。



松本清張
日本の黒い霧(上下)/文春文庫
 戦後、占領下の日本で起こった犯罪の検証。下山事件、帝銀事件、白鳥事件など。内容の正否はともかくとして、「占領」が伊達でなかったことがよくわかる。



三浦綾子
イエス・キリストの生涯/講談社文庫
 名画を通じて聖書とイエス・キリストの生涯を辿る。敬虔なクリスチャンとして知られた三浦綾子さんの信仰の片鱗が伺えて興味深い。



三輪和雄
羽田沖日航機墜落事故/朝日文庫
 羽田沖航空機事故の機長の例から、事故調査の難、精神的な面での企業からのサポートについて取材。
脳外科医の幕間/朝日文庫
 脳外科医という視点からノンフィクションを書く三輪氏が、治療や医学界の動静から綴ったエッセイ。脳の構造や治療についても平易に書かれているのでわかりやすい。



森瑶子
美女たちの神話/講談社文庫
 ヴィヴィアン・リー、バーグマン、ディートリッヒ、モンロー、シンプソン夫人、オナシス夫人、ココ・シャネル、etc…世界に名だたる「美女」たちの生い立ちをたどり、その美しさを見詰め直した一冊。当たり前だが扱われた女性陣は全員本当に美人である。



森口豁
最後の学徒兵/講談社文庫
 終戦の年「石垣島事件」で捕虜を殺害したBC級戦犯として、巣鴨で最後に絞首刑になった学徒兵田口泰正少尉の人生と裁判の経緯を綴る。