ウは宇宙船のウ
レイ・ブラッドベリ/創元推理文庫



 SF短編集。表題作(「ウは宇宙船の略号さ」)も含め16の短編を収録。
 遠く、とおく、はるかにとおくへ。船の時代に海の向こうを、飛行機の時代に空のかなたを、そしてロケットの時代に宇宙の果てを夢に見た少年たち。ウといえばウチュウセンと言うほどに、彼らは上ばかり見上げていた。
 時間がたつにつれてかすんでしまう夢ではあるが、ブラッドベリを読むときは、夢をかなえて地に足をつけた大人、夢を見るのをしばらく忘れている老人も、またひととき空を見上げることができる。日常と未来の世界に接点をつけてくれることだろう。