アンドロイドは電気羊の夢を見るか?
フィリップ・K・ディック/ハヤカワ文庫



 SF小説。第3次世界大戦後、放射能灰に汚染された地球。人類は生き残ったが、多くの生物が絶滅し、「生きた動物」を所有することが地位の象徴となっていた。「賞金稼ぎ」のリックは、人工の電気羊を本物へと変えるべく、人間に紛れ込んだ賞金首のアンドロイドを狩りはじめる。決死の行動の中で彼がふれあう人工の「生命」とは何か。そして多くの人々が信じる宗教家の真の姿とは?
 映画化タイトル「ブレードランナー」、とても有名な小説である。人間しかいない世界、アンドロイドと人間の見分けのつかない世界。そこで生きる人間の「歪み」が底辺に漂っていて、最後まで読むのに息苦しくなるような圧迫感があるが、最後でそれがふっと軽くなる。読後感は妙にすっきりしている。