洞爺丸はなぜ沈んだか
上前淳一郎/文春文庫



 昭和29年9月26日、台風15号接近中の津軽海峡。悪天候が予想される海へ、しかし青函連絡船洞爺丸は出港していった。一瞬風が凪ぎ、気圧が上がりはじめ、悪天候のピークを過ぎたかに見えた海。しかし台風の目と思われたものは閉塞前線のいたずらでできたものあり、台風はまだ日本海にとどまっていた…。かくして「自然の壮大な欺瞞」により、天気を読むことに長けていたベテランの船長は欺かれ、タイタニック号に次ぐ死者を出した海難事故が発生する。四半世紀に及ぶ取材を元に、乗船していた人々にスポットを当てて書かれたドキュメンタリー・ノベル。