OZ
樹なつみ/白泉社コミック



 核ミサイルの誤爆によって勃発し、40分で終結した第三次世界大戦後の世界が舞台(ちなみに大戦は1990年という設定)。
 人口は大戦前の4割にまで激減したが、混乱と小規模の戦闘はやまず、無政府状態となった世界で生き残った人々は次々と新しい国を打ち立てる。そんな中で人々の間にまことしやかにささやかれる噂。飢えも戦いも無い国、OZがどこかに存在している。根拠も信憑性も無いその話は、しかしただの神話ではなかった。
 戦争から31年後。名門エプスタイン家の行方不明の息子、天才的頭脳を持つリオンから、妹のフィリシアにメッセージが届く。「OZへおいで」と。ありうべからざる技術で作られた機械人間1019(テン・ナインティーン)を道案内に、フィリシアは傭兵のムトー・ヨウとともにOZを目指して旅立つ。
 神ともなれる技術を持つもの、その神に創られた機械たちと戦いながら、最後まで「人とは何か」を問い掛けるムトーとフィリシア、そして1019。壮大で厳しい話の行き着くところは、だれにとっても懐かしいだろう、一面の小麦畑である。