眉月の誓
長岡良子/秋田書店



 少女マンガ。歴史もので、大化の改新の立役者藤原鎌足の息子、藤原不比等の一代記。
 鎌足は天智天皇の頭脳として働いた人物だが、彼らの没後起こった壬申の乱の結果、藤原氏は権力をなくす。不比等は自らの頭脳と才覚、不遇の少年時代から培われたしたたかさで道を切り開き、天武天皇の皇后(後の持統天皇)に能力を認められて政治の舞台に上がる。
 後に文武天皇に娘を嫁がせ、さらに元明・元正両女帝の時代まで権力の道をひた走るが、この作品では持統帝の時代、彼の指揮の下で律令が整備されるところまでで終わっている。政治家としてだけではない、血肉の通った人間としての不比等が魅力的でである。ちなみに持統女帝は、「息子のために甥を殺した」ということで嫌う人も多いのだが、この話で彼女を初めて知った人は、多分良い印象を持てると思う。