空の風景
大野潤子/小学館フラワーコミックス



 世にサッカーを題材にしたマンガは枚挙にいとまがないが、少女マンガではめずらしいのでは。あと思い付くのが「シャンペン・シャワー」くらいで…。
 サッカーの強豪校・青藍高校を舞台にした話。最初はサッカー部に借景した恋愛ものの短編から始まったが、オムニバス形式で長く描き続けられるうちに、サッカーを通じて成長しつながり合う人たちの話に微妙に変わった。最初の短編が1986年、最終回は1996年と10年越しだが、作中の年数も同じだけ過ぎている。
 先輩から後輩へ、兄や姉から弟へ、教師から生徒へ、仲間から仲間へ、支える人たちから選手へ。サッカーと言う競技を通じて伝わっていく数々の思いが、静かに、朴訥なまでに正直に描かれている。最終巻の書き下ろし「END」では、高校生ではなくなった人々が主役となっているが、やはりサッカーへの思いは褪せていない。学生時代に真剣にスポーツをやった人が少しだけうらやましくなった。
 「オーノのハーブ・タイム」3巻・4巻「しずくの風景」から読むべし。