出演者のところをご覧ください。谷山さん、担当、Vo、のみ。で、Pf…倉田氏。そう、谷山さんはピアノを弾きませんでした。事前に噂で聞いてはいましたが、やはり谷山さんはピアノという感じがするので驚きました。
すみだトリフォニーホールは、普段はクラシックなどがメインになるホールです。私が初めてここにきたのは松本零士さんのコンサートでしたが、そのときもフルオーケストラでした ^_^;) 内装は白とこげ茶のトーンでまとめられ、舞台背面上方にはパイプオルガンが控えて重厚な感じ。床も壁もよく音が反響しました。
普段のコンサートでAQさんが座る位置に、会場に合わせたのかこげ茶と黒の衣装の岡崎さんが着席。谷山さんは光沢のある銀のワンピースに、後ろの長いグレーのカーディガンという服装で、やはりシックです。ステージには大きなグランドピアノが置いてあるのに、谷山さんはやっぱり舞台中央にたたれました。アコースティックギター一本の伴奏の「窓」、切ない音調と澄んだ声がホール一杯に響きました。
最初のMCでれ、「せっかくのホールでへろへろピアノはどうかなーと思って、ピアノを弾かないことにしました」とのこと。ご謙遜だと思います。が、ピアノの前に座れないということで、ご自分の前の空間を指し示して「ここに歌詞カードがない」との発言に笑いが ^_^;) でも譜面台は用意されていたのですが、谷山さんはあまりご覧になっていなかったようです。気合入ってたんですね。
続いては「笛を吹く人の歌」2曲。岡崎さんお一人で伴奏なのですが、ギターの音色の違いを曲に上手く生かして、とてもタラシな演奏でした〜。ソロギタリストとして活動されている岡崎さんの活動のあれこれを、続くMCで伺えました。その後は「嘘子供シリーズ」2曲。メリーメリーゴーラウンドで、照明がぐるぐると会場を回るように照らしてとてもきれいでした。
ここで岡崎さんから倉田さんにバトンタッチ。「まっくら森の歌」です。倉田さんの演奏は、脳内にメトロノームでも飼ってるんじゃないかというくらい、リズムがきっちりしています。安心感のあるピアノです。楽器自体も相当良いもののような気がしました(自信ないけど)。私の同行者がおっしゃって曰く、「谷山さんの好きそうなピアノ」。ほんとにそうでした。
倉田さんはピアニスト兼アレンジャーで、過去にたくさんの谷山さんの曲に携わってこられましたが、いつもは谷山さんがピアノを弾くので今日まで共演の機会がなかったとか。今日のステージ上では、岡崎さんが学年2つ違いで最長老。倉田さんはグループサウンズの世代で、最初は幼稚園時代に足ぶみオルガンから始め、先生の勧めでピアノに移られたそうです。
最新のアルバムから2曲。「空からマリカが」、ピアノ一本で素敵だなと思ってたら…続いて「仇」。すごかった! 大地震の後、津波が怒涛のように襲い来るように、ホール全体がびりびりと震えるほどの低音キープかつたたきつけるようなピアノ。すっっっごく迫力がありました。受けて立つ谷山さんが歌の女性、ピアノが仇か運命の役で、双方火花を散らして戦うような演奏。終わって満場の拍手とため息。ああもう格好良いったら…!
興奮冷め遣らぬうちに次は「歩き出すと止まらないシリーズ」。やっぱり情熱的な曲にピアノってはまるなー、と思います。MCで岡崎さんが戻り、少しの間雑談。ステージにシンセの人がいないことに触れ、「魂がここらへんに」と自分の隣を指して岡崎さん。やっぱりいらっしゃらないとちょっと寂しいですね。殿方二人に支えられ、「風になれ」と「SORAMIMI」はアコースティックアレンジがきれいな演奏を披露してくださいました。
「天の貝殻」はシンガポールで聞いた外国語の歌がきっかけでできた曲だそうです。カーラジオで聞いて、運転している人にタイトルを聞いたがわからない。ラジオでかかるくらいだから有名な曲だろうと、レコード屋さんに行って店員さんに歌って見せたがやはりわからない。仕方が無いので雰囲気だけ似せて、「こういう事を歌っていたに違いない」と推測される歌詞をつけたとのこと。わ、笑える…。
冷たい水から約束の海へ至り、また。またしてもじたばた身もだえしたくなるような演奏が…。ピアノは魔物。谷山さんの歌、さらにギターも加わって三つ巴。「命の真昼、命の暗闇」という歌詞があまりにも似つかわしい迫力あふれる演奏でした。生きて今ここにいてよかったーっ、と握りこぶしで、息をするのも忘れて聞いていました。すごかったです〜。
最後が近づき、谷山さんの今後の予定などが語られました。これからすぐレコーディングで、来年はまた幻想図書館の2があるとのこと。101人スペシャルのような企画も考案中とかで、とても楽しみです。最後は「さよならのかわりに」、これもすっかり代表曲の貫禄がつきましたね。
アンコールの拍手もえらい響きました。MCで、「トリフォニーを生かしたコンサートをと思ってこういう形にした」と話があり、最後に近い今はとても納得。ここでAQさんからクイズがあり、「来年の幻想図書館のネタはなんでしょう? アンケート用紙に答えを」…私はそうでもなかったですが、悩むあまりアンコールを半分くらい聞いてなかったという人がちらほら ^_^;) AQさん、舞台の上にいらっしゃらなくても罪な人。