新富良野プリンスホテル チャペルコンサート

03/03/21 新富良野プリンスホテル ウェディングチャペル Open20:00 Start20:30 End21:30
出演:谷山浩子(Vo,Pf), 岡崎倫典(G)



曲目

  1. MOON SONG
  2. あたしの恋人
  3. 神様
  4. DOOR
  5. 恋するニワトリ
  6. 誕生
  7. そっくりハウス
  8. 海の時間

アンコール

  1. カントリーガール



 イラク派兵で侃侃諤諤のご時世の中、それでもやってきた連休に便乗して、前後平日の約1.5倍のツアー料金をものともせず(いやちょっと嘘)、富良野に行って参りました。同行は毎度付き合いが良くて大感謝の姉上様。例年より多少早い雪解けに加え、もう春の準備で融雪剤が撒かれているためか、田畑は土が見えはじめておりました。が、それでも白く広く美しい富良野盆地…。ホテルは会場の新富良野プリンスホテル。チェックイン時にフロントで、ツアーについて来ていたチャペルコンサートのチケットをもらいます。一緒にスキー用のロッカーキーも渡されましたが、期間中こちらは一度も使いませんでした。私は確実にインドア人間でございますー。

 夕食のレストランの窓からは風に舞い散る…というより吹き上がる雪を堪能できました。春分の日でも雪国なのね、と納得しつつチャペルへ移動。目算で150席ほどありましたが、開始までにほぼ埋まりました。館内は暖房が行き届いていてぽかぽか。白い内装、正面の十字架と左右の壁に飾られた花は平穏そのものでした。部屋で見てきたニュースがイラクのことばかりだったので、「今日あたしの恋人とかあったら怖いよねー」などとのんきに話していましたら、開始後に大当たりが…。

 左右に配置された椅子の間、緋毛氈の引かれる中央を通って谷山さんが登場。一礼してピアノの前に座り、1曲目は「Moon Song」。当然ながら、お客さんはスキー目当てで来ている方が大部分。おそらく谷山さんをご存じなかったり、ご存知でもファンではなかったりで、「なんかやってるから行ってみようか」という人が多かったのではないかと思います。谷山さんもMCで同様のことをおっしゃって、「だらーっとして聞いてください」とリラックスを推奨。ここで岡崎倫典さんが登場されました。岡崎さんはチャペルコンサートで長くメインを勤めてきたとあって、富良野の思い出も色々とお持ちのようです。年越しに花火が打ちあがる話でひとしきり盛り上がり、ほのぼの…と思ったところで、次の曲目。ちょっと耳を疑いました。

 冗談大当たり。もともと「あたしの恋人」はとても怖い歌だと思っておりましたが、こんなに居たたまれない思いで聞いたのははじめてかもしれません。このコンサートの間にも戦争がはじまっていて、ミサイルや爆弾や銃弾が飛び交っているのだということを否応なく思い出してしまってつらく感じました。会場の谷山さんファンではない人になぜか「ごめんなさい〜」と心の中で謝ってしまったり…。岡崎さんの定評ある弦のサポートが、また底冷えのする空気をかもし出し、半分息を止めて聞きました。今思うと、これはこの日の谷山さんの思いをとてもよくあらわした選曲だったのではないかと思うのですが、当日はそこまで考える余裕はありませんでした。

 曲からMCに移行し、岡崎さんのお誕生日の話に。「めでたくなくなる年齢はいくつか」という話で、谷山さんは15のときに「もう年」だと思っていらしたそうです。私くらいの年齢の人間が聞くと、張り倒したくなるような話ですね ^_^;) でも「年を取ってだんだん音楽がいい感じになってきた」とお二人。「90になっても音楽をやってそう」という言葉、頼もしかったです。

 この次は2曲続けて「神様」と「DOOR」。どちらもピアノがメインながら、間奏や伴奏のギターが渋くて良い感じ。DOORのサビの伸びが綺麗で、先ほどの居たたまれなさはどこへやら、「場所にふさわしい演奏だわ」などと悦に入りつつ聞きました。けれども子供さんにはちょっと退屈だったようで、途中退席の親子連れさんの姿が。それ以前に小さい子はもう寝る時間だったのかしら。

 子供が去っていった扉を残念そうに眺めつつ、谷山さん「小さい人向けの歌」。昨秋に発売されたばかりのアルバム「そっくりハウス」より3曲。「恋するニワトリ」は楽器構成やアレンジであまり印象が変わらない歌ですが、電子音が少ないとちょっと色っぽく聞こえると思います。「誕生」は素朴な感じで。弦がはまってかっこよく聞こえました「そっくりハウス」は茶目っ気があり、きっと小さいお子さんが楽しめたことと思いますが…もったいない。

 ラスト「海の時間」でちょうど21時30分。タイムオーバーだったのかたくさんのアンコールの拍手の効果か、間を置かない再登場となりました。「カントリーガール」はさすが外さない演奏で、最後の拍手もひときわ大きく。終演後、後ろの席のご夫婦が「いい歌ね」とうなずきあっていらしたのがとても嬉しかったです。




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