猫森集会Bプロ2日目。谷山さんはチェックのカーディガンに紺のインナー、大きくスリットの入った黒のロングスカートでご登場です。慣れのためか時節柄か、最初からもうお声も表情もリラックスした雰囲気。1曲目をピアノだけで歌った後AQさん登場、「不審な人物が森で待っている歌」ということで2曲。がらりと恐ろしさ加減の異なる2つですね ^_^;)
ゲストのIMEHAは本名「IMAGE OF HAWAII」の、ハワイアンミュージックの3人編成のギター奏者グループです。皆様なかなか渋い印象の殿方ばかり。谷山さんの歌にハワイアンてどんなかしらと、不安半分期待半分で待ち構えていましたが、「ただ風のために」1曲で不安の側だけ吹き飛びました。一音一音が固定されているはずなのに、どこっか自由度の高い音階。ギター3本の唱和に、ピアノとシンセが押し付けがましくなく絡み、その上に穏やかに乗る谷山さんのボーカル。曲間に拍手したくなって困りました…。MCのIMEHAさんの話では、皆様あまり多弁ではないようですが、ハワイアンをまじめに楽しんでいらっしゃるご様子がよくわかって好感が持てました。
続いては「自分勝手な人に振り回される歌」。3曲続けてタイトルをつなげると、ということです。ギターに合わせてかシンセが押さえ気味押さえ気味、という感じでしたが、要所で効果的な一音が入り、場を締めてくれました。「おやすみ」をギターで聴くって…ああもう良すぎる…。スラッキーという、チューニングが各家庭で異なるハワイアンのギター。同じ曲を演奏しても微妙に変わるそうですが、ほぼ温かい印象の音階となるようです。続く曲は「同じ状況を、男性側と女性側のそれぞれの視点から見ている」2曲。音色のやわらかさが際立ち、その魅力が最大限に発揮されていました。
続いて「照明さんにやさしいコーナー・七島さん(照明の担当者様)コーナー」で色にちなんだ曲二つ。奇を衒わず青を基調の照明で美しかったです。ギターのための選曲ということもあるのか、これまたとっても弦の唱和と歌がほのぼのとやさしく、「これをBGMに旅に出たい…」などと考えてしまいました。ハワイは気候や風景の穏やかさに似つかわしくないしんどい歴史のある島ですが、それだけに各家庭に伝わる娯楽としての音楽は心やすらぐものだったのでしょう。
しかしそれでも今回は谷山さんのコンサート。いかにハワイアンなゲスト様とはいえ、マイナー音階の曲がないわけがない。タイトルが「〜〜の〜〜」と助詞「の」でつながるものは初心者だと言われるので、今回はそれを選んでみたという谷山さん。私がとっさに思いついたのはなぜか「手品師の心臓」だったのですが、「前が1文字あとが2文字」とのことでこのラインナップ。「夢の逆流は」、IMEHAのお三方にとっては冒険だったんではないかなと思います。後のMCで「マイナー曲(マイナーな曲ではなく!)はIMEHAさんにはやりづらい」とお話が出ていましたが、楽器の出せる音色(おんしょく)の幅をアレンジと腕で広げることを要求され、きっちり応えるあたりが「さすがプロ」でした。
「の」シリーズで多分たくさんの人が真っ先に考えた「海の時間」が本編ラスト。アンコール「DOOR」ときて、「ああ社会復帰したくない…」という演奏の心地よさを堪能させていただきました。終演後ロビー物販では、IMEHAさんのCDは売り切れ。ぜひまたげストでいらして欲しいなと思います。