谷山浩子 ソロコンサート

04/03/13 高知県立美術館ホール Open18:00 Start18:40 End20:35
出演:谷山浩子(Vo, Pf)



曲目

  1. ピエレット
  2. MOON SONG
  3. 河のほとりに
  4. 小さな魚
  5. 水玉時間(アルバムバージョン)
  6. 地上の星座
  7. お早うございますの帽子屋さん
  8. 子守歌
  9. カントリーガール
  10. 恋するニワトリ
  11. まっくら森の歌
  12. 神様
  13. よその子
  14. ここにいるよ
  15. 学びの雨

アンコール

  1. おやすみ



 4週連続の谷山さん追っかけ行脚も最終日。高知は大変暖かかったです。先週の郡山と打って変わって、あれとこれが同じ国とは信じられないくらい。晴れて観光にはよかったですが、重い荷物を持って歩き回って汗がだらだらと。コンサートまでに体力を使い果たすかと思いました。高知県立美術館は真新しい瀟洒な建物です。会場は美術館内部の立派なコンサートホール。ステージ上に能舞台を作れる設備があるくらい広く、椅子の座りごこちも格別でした。今回の座席は前から2列目右寄りと絶好のポジションです。同行者が来られなくなってしまったため、有名な某旅行委員様にチケットの穴埋めをお願いしてみたところ(チケットをお渡ししたのは熊本だった)、頼んだ席にはご本人が座っていらっしゃいました ^_^;) うるさくして申し訳なかったです。

 10分ほど予定より遅れて開演。オレンジのカーディガンに黒地に白のフレアスカート、黒い靴で、昨年の猫森のどこかのパターンと同じステージ衣装でした。1曲目は「扉」。リラックスして、声もよく伸びている印象です。高知は谷山さんのお父上の故郷だそうで、親戚の方も多いとか。それなのに高知でのコンサートは、大学でのライブ以来15年ぶりになるそうです。しかも「こんなに立派なホール。この広さをどうしろというの? という感じです」と谷山さん。音響もよく、お客さんの数も今回のソロツアーで私が見た中では一番多かったと思います(けれども途中ちょっとスピーカーに異音がありまして、それだけが残念)。「このホールにふさわしい曲を」と「ピエレット」と「MOON SONG」の2曲。「MOON」はもう、お約束のように照明で月が出されるのですが、これが既に楽しみです。曲のほうも、コンサートが終わるかと言う美しさでした。

 ラジオドラマ「神様」のプロデューサーの松本さんは、高知県中村市のご出身で、四万十川のドキュメンタリー企画を熱心に進めていらしたそうです。それにちなんで、ソロコンサート恒例のご当地ソングは四万十川。選曲の2曲は、隣にいる大事な人と、遠くにいるけれど近づきたい大事な人への歌。テーマにふさわしい曲だったと思います。

 この日のリクエストコーナーは、まずお誕生日の方。残りは立候補で、最初に手を挙げた人、端の席で手を挙げた人、逆端で挙げた人の計4人でした。真っ先に手を挙げた人が「なんとかの帽子屋さん」とリクエストしていたのが面白かった ^_^;) 最後の人は最初カントリーガールをリクエストなさいましたが、「いいうたですよね。…この後聞けると思います」とのことで曲を「子守唄」に変更。今回の照明さんは高知の方ですが、リクエストコーナーに挑戦すると宣言されたそうで、会場から拍手が沸いていました。恒例のリクエスト前説、「水玉時間」は「段々色をなくしてモノクロの世界になる歌」照明さんにけんか売ってらっしゃいますか谷山さん ^_^;) 「地上の星座」は「夜景を高いところから見下ろしている孤独な人の歌」、一字違いの歌よりずっと前からある歌だと言うのは谷山さんファンの間では常識ですがこの日も力説されてました。「おはようございます〜」は「帽子を配る歌です。赤と紫と白と、…オレンジ」最後に子守唄は「夜の歌です。亡くなったお母さんが子供に歌っている」え、このお母さん亡くなってたんですか…やっぱり。そうはっきり言われてしまうとちょっと悲しい…。それにしてもすごくまっとうなラインナップです。

 続けて第2部。昔の歌のブームがきていると言う谷山さん。「適正な距離を取って昔の自分と付き合えるようになった」とおっしゃっていて少々うらやましいです。きっと歌そのものに限らず、その当時の自分とか人生を客観的に見られるようになったということだと思うのですが。私自身の20代頃なんてまだ色々と生々しくって…えーそれはともかく、カントリーガールは昔と言うほど昔の歌ではないですよね。と言いますか、時期的にはともかく心情的に、そんなに昔だと思えません。色あせない歌だから、これだけ何度もリクエストを受けるのだと思います。

 高知ではとってもお魚のおいしいお店に行かれたとのこと、トークが弾んでおられました。かつおのたたきとか、のれそれ(穴子の稚魚)とかを召し上がられたその描写がおいしそうで…谷山さん〜、私晩御飯まだなんですけど〜ああおいしそう…。腹の虫にえさをやらねば鳴きだされる一歩手前だったので、余計におなかがすいて大変でした。しかし続けては「食べ物の歌ではありません」ということで、どうにか気持ちを紛らわせたおかげで虫の鳴き声は回避。とりあえずよかったです。月の照明の浮かぶ「まっくら森」で、自分はともかく他のお客さんの集中まで切ったら申し訳なさ過ぎる…。

 この日は本当に、あまりにもまっとうで美しい選曲で、リクエストコーナーもその流れを堅持していたと思います。まっくら森の後、MCにありました「神様」のエンディングテーマと、「宇宙の子供」から「神様」と並んで人気のある歌と言うことで「よその子」「ここにいるよ」…この流れって魂の救済を感じるんですけどいかがでしょう。伴奏がピアノ一本ってところがまた、曲の骨格が剥き出しになってる感じで良いです。最後に「前向きなうた」で「学びの雨」。アンコールが「おやすみ」。うわあ…。死ぬなら今が良いと思うくらい幸せなことってごくまれにありますが、いやもう。ほんとに。泣くかと思った。

 あんまりにも気持ちよく聞き終われたので、今死んだら成仏する自信がある、とアンケートに書いてきてしまいましたが、なんのまだまだ! 次に私のいけるコンサートはいつでしょうか。また色々な企画を楽しみにしています。




[谷山浩子] [音楽のページ] [ことのはのもり]