谷山浩子 猫森集会 Bプログラム1日目・2日目

04/09/20 新宿スペースゼロ Open18:30 Start19:05 End21:00
04/09/21 新宿スペースゼロ Open??:?? Start19:10 End21:20
出演:谷山浩子(Vo,Pf),石井AQ(Syn),狩野泰一(篠笛,Per)



曲目

  1. DOOR
  2. 神様
  3. ひまわり
  4. メリーメリーゴーラウンド
  5. 笛吹き
  6. もみの木
  7. ほおずきランプともして
  8. かくしんぼ
  9. 鬼こごめ
  10. やまわろ
  11. 冷たい水の中をきみと歩いていく
  12. さかなの言葉
  13. 河のほとりに
  14. 風のたてがみ
  15. 風になれ
  16. ドッペル玄関

アンコール

  1. 恋人に



 手を変え品を変えのBプログラム開始。曲目がちょっとつぼにあたりまして、もともと初日だけのはずだったのに2日目も行ってしまいました。なので2日分混合での感想文になります。

 まずは谷山さんお一人で、ピアノのみのアレンジの「DOOR」。シンセ無しが新鮮な印象です。「Aプロは重いのをやってしまって、Bプロは懐かしい曲が多いです」と今日の内容紹介。古い曲といっても、少し古いかとっても古いかで結構違いますね ^_^;)

 AQさん登場、続く3曲は1日目のMCでは「テーマ無し」。ということでしたが、Bプロ1日目のアンケートで「テーマは「見つめている」ではないか?」と指摘があったとのこと。なるほど鋭い〜。温かいファンタジー系の曲が続き、シンセの音に和みます。

 この後ゲストの入場。篠笛奏者兼和楽器系パーカッショニストの狩野さん。白いジャケットと黒いTシャツ。今回の猫森のゲストさんは、ご衣裳がモノトーン縛りでいらっしゃるようです。今回は笛がメインなので、歓迎の意をこめた選曲「笛吹き」。イントロの低音のアレンジが大変かっこいい。狩野さんもさっそく篠笛で参加。間奏で高低差をつけた笛の音色、切るような曲調にあわせて哀切さをかもし出し、さすがにプロという感じです。

 しかし楽器の印象にそぐわず、狩野さんは大変よくお話なさる方でした ^_^;) まず音楽暦をご披露くださいました。「鼓童」という和太鼓のグループ出身でおられるのですが、最初はジャズドラムをなさっておられたそうです。勉強にアメリカに行って、そこで何故かアメリカ人が演奏する和楽器に出会い、触発されてこっちの道に進まれたとか。2日目にもうちょっと詳しくお話くださったところでは、まず幼少期にピアノ。続いて吹奏楽部。そこからハードロックに行き、ジャズドラムに行き、現在たどり着いているのが笛、という状況でしょうか。ピアノはバイエルが終わらなかったそうで、これは先生の影響でいらっしゃるそうです ^_^;) 型にはめられそうになるのがお嫌なようです。

 続いては「会う前に見た狩野さんの写真のイメージで」選んだという植物の歌2曲。確かに写真の狩野さんは渋い…。「もみの木」は狩野さんはパーカッション。「ほおずきランプ」は篠笛。素朴さが歌にマッチしていて良い感じ。サビの部分の歌とのかけ合わせは、谷山さんの声も気分よさそうでした。

 続いては「狩野さんと話そう」のコーナー。鼓童の活動についてのお話でした。鼓童は佐渡本拠の団体ですが、しばらくは廃校で合宿をしていたそうです(私これ最初聞いたとき、「廃坑」と漢字変換してびびってしまった…)。大変体育会系な練習風景。

 続く3曲のテーマは「あやかし」。「練習してやるのが四半世紀ぶり」の曲もあるとのことで期待が高まります。で、これがこの日一番の白眉でした。和の世界のあやかしに和楽器、なんてすばらしいはまりっぷり…!(感涙) 「鬼こごめ」では能管が使われました。後のMCで詳しく話してくださいましたが、篠笛はドレミにチューニング可能ですが能管はそれができないため、音がドレミの音階の真中をつかないのです。これがいい! どこか危うく妖しげに、耽美の世界にさあはまれといわんばかりの音色。四半世紀ぶりの「やまわろ」はポップに。私もこれだけの回数コンサートに来ていて、生で聞くのは初めてでした。びっくり。

 MCで能管の音を童謡の「七つの子」で聞かせてくださったのですが、怖いことこの上なし…。佐渡では民間芸能としての能が盛んなので、狩野さんも土地の方にずいぶん鍛えられたそうです。  鍛えられたといえば、鼓童の活動の数々がまた面白く語られて ^_^;) 年間100公演、海外でも活躍されるグループですので、たくさんの感動や交流とともにハプニングもあるんですね。3000枚だかソールドアウトしたコンサートに、手違いで太鼓が届かないというエピソード、笑い事じゃないと思うんですが笑わせていただきました ^_^;) (仕方ないのでそのまま幕を開いて手と口でパフォーマンスし、太鼓が届いたらもうお祭り騒ぎだったとか…ちょっと見てみたいかもしれない…)。ほかにアフリカのマリの奥地まで演奏に行ったときの話など。水に赤チンを入れると簡単に殺菌できるので、お食事も飲み水も赤チンの匂いがしていたという話とか(演奏は?…愚問かしら)

 とにかくこの両日は、狩野さんの話題の豊富さが印象に残りまくってます。とてもたくさんお話されていたのに、メモを見直してみると2日間音楽歴以外ほとんど話題が被ってなかったようで、すばらしい。「オールリクエストもできるかも」と谷山さん。出来そうな感じですね〜。実現したら面白そう。

 続いて「水の歌」3曲。水の持つイメージのためか、しっとりした印象です。「リズムが吸い付いてくる」と谷山さん。演奏する側の気分のよさが伝わってくるんでしょうか、聞いていてもとてもリラックスできました。「演奏するのに理論はいらない」と強調される狩野さん、やっぱり満足の行く出来でいらしたのではないかと。

 水に続いては風。こちらは狩野さんは主にパーカッションでの参加です。考えてみると谷山さんのコンサートのゲストは旋律系の方が多いので、シンセではないパーカッションの援護射撃は新鮮です。「風になれ」では風の音の効果音を出す楽器から篠笛にチェンジ。やっぱり音色に一番合う曲を選ばれたのでしょうか?

 最後は「狩野さんが一番喜んだ曲」とのこと。パーカッショニストは皆様パフォーマーでいらっしゃいますが、狩野さんも真骨頂! 種々雑多な「音の出るもの」を各種取り揃え、ワンセクションごとに次々と繰り出してきます。初日のアンケートで「明日に期待」されたので、2日目にはわざわざドンキのおもちゃコーナーまで ^_^;) 買い足しに行かれたそうです。もちろん大部分はパーカッション用の楽器なのですが、打楽器は「音の出るものは全部楽器」という認識が通用しますので、大変にぎやかなことに。子供用の笛(ホイッスルとか伸び縮みするのとか)、ビニールのパイプ(振り回して音をたてる)、からころからころ鳴る木製(竹製?)のおもちゃ、などなどなど。面白かったー。

 アンコールは「第七官界」のテーマソング。「恋人に」というタイトルになったそうで、CD化が待たれます。

 今回ゲスト様の個性は毎度楽しみの一つですが、今回は大変強烈でした。楽器の種類・演奏内容の多彩さは群を抜いておられると思います。またのお越しも楽しみですー。ぜひオールリクエストに!




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