上野洋子

02/01/20 下北沢LADY JANE Open19:00 Start20:05 End22:35
出演:上野洋子(Vo,Aco)、太田恵資(Vi,Announce)、内橋和久(G,Daxophone)



曲目

  1. マイファニーヴァレンタイン(インプロ)
    • MC
  2. (インプロ)
    • MC
  3. (りんけんバンドっぽい?)(インプロ)(〜21:20)
    • 休憩(〜21:30)
  4. MISTY
    • MC
  5. (インプロ)
  6. (インプロ)
    • MC
  7. (クラシック?)(インプロ)
    • MC
  8. September(?)
    • MC
  9. (インプロ)

アンコール

  1. 椎葉の春節



 当日浮かれていたと白状いたします。だって「上野洋子」名義のライブって初! だったんです。少なくとも私には! 電話予約では最後の方だったようで、「ぎりぎりありますよ」と言われてほっとしました。LADY JANEについて、入って最初に思ったこと…狭い。小さなイギリス風(かな?)のジャズバーで、バーカウンターのほかに机と椅子合わせてもせいぜい30人でいっぱいになってしまうくらいです。落ち着いた雰囲気の中、壁や天井に所せましと映画のポスターやチラシが貼ってあり、小人数でくつろぐには良いところだと思う…のですが。そこにまず予約者さんが40人ほど入り、追加椅子を通路にところせましと並べ、当日券の20人弱を詰め込みました。最後の方に来た人が最前列になってたり。空いているスペースはすべて椅子。おかげで出演者の皆様も出るのに歩く場がなく大変そうでした。

 上野さん、最初のご挨拶。「深呼吸…(客席を見回し)できないですね。ダルッとやります」。…とのことでしたが、最初の曲から約20分を費やす大曲でした。ベースは内橋さんのギター、上野さんのヴォイスと太田さんのバイオリンのセッションから始まり、ふと気づくと上野さんのとるメロディラインが耳に馴染んだものに変化していく。弦と声のコラボレーション風味は維持したまま、最後は曲としてくっきりとメロディを残して終了。「このメンツでジャズをやるとは思わなかったと思いますが」と上野さん。私はジャズが何かと言うことすらわかってないので ^_^;)

 続く曲はもう完璧にインプロだったようです。私が聞いた印象としては「スパイ大作戦みたいな曲」です。上野さんは最初口琴を、中盤ではアコーディオンを使っていました。低音から一気に伸び上がるヴォイス。が素敵。口琴は時々「うにょんみにょんわにょん」という感じの音が出ていましたが ^_^;) 途中アジアンテイストな楽曲から「こきりこ節」に移行したときは、一瞬お客さんからざわめきが聞こえました。意外でしたが違和感がありません。お見事。ラストでは上野さんもアイリッシュドラム(?)でパーカッションを披露。これも20分以上かかっていたようです。

 MCの印象を一言で言うと「上野さんがいっぱいしゃべってる…」でした。やっぱりご自分の名義のライブだとサービスしてくださるんでしょうか ^_^;) 珍しく5分以上話をされてました(太田さんと内橋さんによるところも大ですが)。「せっかく神戸から来たんだから」と内橋さんに漫談を要求(何故?)、結局太田さんも含めて盛り上がってました。続けての曲はぼんぼんぼんぼん、という印象の上野さんのパーカッションと、どこかコミカルなヴォイスで開始。沖縄民謡っぽい曲でした。近くで「りんけんバンドの曲では?」という声が聞こえましたが多分ちょっと違う…。上野さんの声が途中で一気に跳ね上がるところが背筋ぞくぞくでした。

 休憩でも移動できない出演者の皆様、いきなり物販を開始。太田さんが定番のスピーカーで「CDを販売します」と呼びかけ、応じて買いに出たお客さん…座席からほんの5メートルの移動がものすごくつらそうだった ^_^;) ここまでは私の位置からでも内橋さんと上野さんが見えていたのですが、ここ以降お客さんの位置の兼ね合いで、お二人が座ってしまうとちーとも見えなくなってしまいました。残念。

 後半開始。上野さんは一言、「じゃ、普通なのを」。これもインプロ風でしたがメロディラインがしっかりしていて、色っぽいジャズナンバー。上野さんは「昔はお水」で、クラブ歌手としてこうした歌を歌っていらしたことがあるそうです。20年ほどまえということですが、…ってことは上野さん未成年では? ^_^;)

 続いては上野さんが笛とスキャット。太田さんが拡声器を手にし、何かと思いきや「CD・CD」「買ってね・買ってね」…上野さんのソロアルバムが2枚同時発売の日が近く。そりゃもう買いますわー、と思いながらも笑わせていただきました。続いては太田さんがタンバリンを持ち、上野さんが笛を。更にドラムからヴォイスへと、八面六臂の活躍です。

 次はクラシックのインプロ。内橋さんのギターと上野さんのヴォーカル、お二人だけでの演奏で静かに進行。と思いきや、ラストで太田さんのお声が飛び込みました。「佳境の部分を冒涜して、場末の酒場風にしてみました」とのこと。続いてもジャズで、私の耳には「September November」と聞こえたのですが該当する曲がわかりません ^_^;) これも前半は内橋さんと上野さんのみ。途中から太田さんが、今度は美しいバイオリンで加わりました。

 「こじゃれた佳境になっちゃいました」ということで、これでは終わりづらいので「普通にインプロで締めます」。インプロってこと自体普通じゃない気もするんですが。このあたりで既に22時をとっくに回っていたのですが、ラスト1曲でやっぱり10分以上かかってました ^_^;) この曲ではまず太田さんがベースラインで開始、上野さんが途中からヴォイスでリードをとり、徐々に盛り上がって酔っている中を静かに終了。

 アンコールも舞台から移動できないのでそのまま退場せずに続行しました。「インプロってなあに? という人のために曲を用意してきました。アンコールが来たらやろうね、ということで」と上野さん。そりゃ来ますともさ、で何かなーまたジャズかなーと思っていたら「椎葉の春節」…ええっ!? どよめく客席を置いてアカペラから入る上野さん。ワンフレーズ置いてバイオリンと静かなギターが入り、中盤からは上野さんもアコーディオンを手にしました。何が飛び出すかわからないステージの最後をしっとりと締めてくれました。

 多分上野さんの「歌」を目当てで来た人は、半分くらい「ヴォイス」だったことにめんくらったのではないかと。でもインプロ・インプロ・インプロでも、完成された曲のように臨機応変に玄人の演奏をする御三方に感心しました。芸達者って素晴らしい。またこんな風に遊び心あふれるステージを作ってほしいと思います。




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