ヴァン・ダイン
グリーン家殺人事件/創元推理文庫
 ニューヨークの一角にたたずむグリーン家。その当主の死後25年間、屋敷を離れぬようにという遺言に縛られ、互いに牽制し憎みあいながらも共にくらす一族。お定まりのように起こる殺人劇。一人また一人と人が減っていく描写に怖気がたつ。



高遠砂夜
レヴィローズの指輪/集英社コバルト文庫
 下町育ちの少女ジャスティーンは、ある日思いもよらぬ来訪者を迎えた。両親亡き後孤児になったと思っていた自分に、貴族の叔母がいるというのである。父の妹だと言うその人に会うのを楽しみに下町を去ったジャスティーンだが、叔母は彼女に冷たい態度を取る。住まいとなった巨大な城は奇妙に空虚。隠された地下迷宮の存在を知って足を踏み入れた彼女の前に、幽霊だと名乗る少年が姿を現す。
 「グレデュース」の表紙イラストの青年につられて読み始めた(先が長い…)。強くたくましい人情家の少女ジャスティーン。ここのところ色々とコバルトやビーンズを読んで思ったことですが、困難にめげてたら主人公ってやってられないのよね(しみじみ)。ジャスティーンの行動の原動力となるポジティブ思考は空回りしがちですが、それでもけなげで一生懸命なところは動かず。最後に大反則の力技を行使された末彼女の命運が決まりますが、艱難辛苦の連続となりそう。(2003.1.29)
ジェリーブルーの宝玉/集英社コバルト文庫
 強大な魔力を持つという指輪・レヴィローズの主となってしまったジャスティーンのもとに求婚の手紙が舞い込む。即却下したジャスティーンだが、その求婚は何故か指輪の主候補の一人であるシャトーの元に行ってしまう。しかも彼女宛の手紙に添えられた水色の宝石は、レヴィローズと同じような力を持っているというのだが。
 炎の宝玉に続き水の宝玉登場。指輪の魂であるレンドリアと信頼関係を築くのは難しそうですが、この場合、「知らない」「わからない」の責任をジャスティーンに帰するのは酷だと思うんだけど。今一人の主候補・ダリィの突き抜けた自分本位加減がかえって筋の通ったものに見えてしまうくらい。(2003.1.30)
闇の中の眠り姫/集英社コバルト文庫
 第四の指輪の主候補が現れた。レヴィローズを生かす魔術を持たないジャスティーンを、炎の一族は認めようとしない。叔母に似た黒髪の少女は、レヴィローズが自分を選ぶと絶対の自信を持っていて…。
 魔術師って…(ため息)。この人たちが相手ではジャスティーンも苦労します。「わけもわからず」状態だったジャスティーン、ここに来て指輪の主としての自覚が強まってきたようです。(2003.1.31)
幽霊屋敷と風の宝玉/集英社コバルト文庫
 行方不明の風の宝玉の探索を叔母に頼まれ、張り切って出かけるジャスティーン。ダリィとともに風の番人の館跡に向かうが、そこはすでに廃墟同然だった。当てもなく広い屋敷内を探るうち、ジャスティーンは指輪の精と思しき青年と出会う。
 宝探しの趣のある今回、いつも冷静なシャトーが欠けているというのに、しみじみとダリィ嬢はたくましかった。「漠然と力が湧く」というやつです。風の番人の選んだ道は、今後のジャスティーンの行動にも影響を及ぼしそう。(2003.2.1)
シャンレインの石/集英社コバルト文庫
 実家に帰ったままのシャトーの様子を見ようと、シャトーの城に出かけるジャスティーンとダリィ。彼女に良く似た面差しの母親と姉たちには会えたが、肝心のシャトーの所在についてはわからないまま城に滞在することになる。
 何人いるかわからないというお姉さま方が不気味…。シャトーが味方ではないかもしれないと言う状況はとても怖いものだと認識しました。炎の一族にとって「レヴィローズ」が特別だと改めて良くわかるお話。ジャスティーンのお父上の行動がいよいよ謎です。けれど何よりやっかいなのはレンドリアの性格だと…。(2003.2.1)
ルファーヌ家の秘密/集英社コバルト文庫
 魔術を使いこなせないジャスティーンは、指輪の主にふさわしくなるべく、手がかりをさぐるためにルファーヌ家に赴く。水の宝玉の主だった人物の家であり、魔術師としては例外的に穏やかな家風で知られていたが、彼らは何故かジャスティーンに素顔を見せようともせず…。
 信じるには難のある相手を信じなくてはいけないジャスティーン、今回も試練。秘密主義かつ実力主義の魔術師を敵に回してどこまでいけるか試されどおしです。「魔術師にとっての宝玉」がシリーズ中繰り返し強調されていますが、今回はその最たる話だったかと。ジャスティーンはここまでずっと同じような悩みでぐるぐるしているので、そろそろけりケリをつけて欲しいところです。(2003.2.2)
グレデュースの鎖/集英社コバルト文庫
 魔術師の集会があるという。留守中の叔母の名代として出かけると言うダリィを案じて付き添っていくジャスティーン。中立地帯だとされる巨大な館で、ジャスティーンは地の宝玉の番人だと名乗る青年に出会う。
 やっとここまで来ましたー。今回は少々趣が変わりまして、宝玉が主の存在をどう捉えているかがクローズアップされたかと。これまで父親にくらべて存在感の薄かったジャスティーンのお母上もまた注視の対象と相成りました。ああでも、レンドリアにもようやく恋敵(?)が…。嬉しいです。(2003.2.3)
紅の封印/集英社コバルト文庫
 短編3本収録。まず1作目はジャスティーンの謎多き父エリオスの少年時代。天才的な魔術の才能を見せる彼を教えることになった家庭教師の視点から、エリオスとレンドリアの交流をつづります。2作目はジャスティーンの両親の出会い。こちらは母サーシャの視点から、「馬鹿と天才は紙一重」の天然ボケ青年となったエリオスが語られます。いずれもエリオスが主軸となる話なのに、肝心のレヴィローズとの決別についてはぼかされているあたり、焦らしてくれます。最後はダリィの日記。彼女には是非、夏冬有明に出没していただきたい。面白そう。(2003.2.26)



喬林知
今日からマのつく自由業!/角川ビーンズ文庫
 正義感と負けん気の強い野球少年渋谷有利(ユーリ)は、ある日便器から別世界に流されてしまう。着いたところでいきなり敵視され、命からがら逃げた先では眞魔国の魔王陛下だと聞かされる。…魔王!?
 ギャグコメディ。私の笑いのツボとはずれるんですが(多分私のトシのせい。だってハイテンションを求められるんですもの)面白いです。恋多き前女王ツェリ様の三人の息子、並びに王佐はそれぞれタイプの違う美男なのにそれぞれどこかズレていて笑える。そしてそのズレこそが醍醐味かと。ユーリの常識・非常識とこの世界のそれの違い。おそらくゲーム機に馴染み、RPGをやりこんでいる世代の人こそが一番楽しめる話だと思います。(2003.2.5)
今度はマのつく最終兵器!/角川ビーンズ文庫
 今度は銭湯から流されたユーリ。他国で発見されたという魔剣モルギフを入手すべく、魔族三兄弟の次男・人間とのハーフのコンラッドと、成り行きで婚約者となった三男坊・82歳の美少年ヴォルフラムと共に旅に出る。
 ユーリのテンションで人生やってたらきっとすぐ血管切れるなー、なんぞと思いつつ読んでます。魔族と人間の対立がある世界で魔王になった彼の、自身の認識と周囲の認識のズレは、本人が予想だにしない大きさだったようです。笑いを前面に押し出しつつも背景はかなりヘビーなお話かと。でもさらっと流しつつ読むのが良いのかな。(2003.2.8)
今夜はマのつく大脱走!/角川ビーンズ文庫
 水族館でイルカと握手、しつつ流されたユーリ。今度の目的は嵐を呼ぶという魔笛。またしても他国で見つかったそれを入手に向かうが、砂漠でコンラッド・ヴォルフラムともはぐれ、最後に残ったのは三兄弟長男のグウェンダル。法石という力のある石を産出する、独特の宗教を持つ国で、二人は駆け落ち夫婦と誤解されるのだが。
 魔族のみならず人間同士でも差別・蔑視があるとは既知のことでしたが、今回の話はそれに真正面からぶち当たっていました。ギャグから落とすところの落差が激しいので余計に際立ちます。気分的にユーリの正義感に救われました。(2003.2.10)
明日はマのつく風が吹く!/角川ビーンズ文庫
 元の世界に帰れなくなったユーリ。周囲に励まされつつなんとか魔王業をこなしていたが、ある日魔王の暗殺未遂事件が起こる。犯人は彼の隠し子を名乗る幼い少女で、魔王の親族が持つ徽章を手にしていた。少女を放っておけないユーリは、共に彼女の故郷へと向かう。
 モルギフ事件で作った人脈が生きました。名前だけは繰り返し出てきていたアニシナ、本格的に登場。見事な女尊男卑さ加減がかっこいい女性です。前巻で行方不明のままだった人の消息が判明しましたが、完全解決は先送りされました。このまま大部分ギャグ・けれど要所はシリアス路線で突っ走って欲しいもの。(2003.2.11)
閣下とマのつくトサ日記!?/角川ビーンズ文庫
 魔王を熱愛する王佐ギュンターの日記が一部で評判に。新ジャンル確立をもくろむ敏腕編集者の求めに応じ、日記から拾い出された特別編3本。1作目は陛下の愛らしさを追及。迎賓館の地下に巣くったという魔物の退治に出かけるユーリとヴォルフラム。さて結果は。2作目はスリルを追求し、三兄弟長男グウェンダルと赤い悪魔アニシナの、心胆寒からしめる結婚回避劇。アニシナほんとに怖いです…。3作目は意図せざる特別編。コンラッドが初めてユーリの世界を訪ねたきっかけとは。これだけシリアス調。でもガンプラなんて懐かしいものが…。(2003.2.18)
きっとマのつく陽が昇る!/角川ビーンズ文庫
 海辺でのバイト中に流されたユーリ。しかし彼を迎えにきたギュンターとコンラッドによると、今回眞魔国では彼を召喚していないらしい。ユーリの命を狙う刺客に襲われ、撃たれるギュンターと、どさくさで生死不明に陥るコンラッド。しかもユーリは敵国シマロンのど真ん中に転送されてしまう。なんと今度は友人の村田まで一緒に流されてしまっていたらしくて…。
 怒涛の展開、どうにもこうにもシリアスです。いや笑いは随所にあるんですが、なんていってもコンラッドが、コンラッドがあああ(号泣)。眞魔国の正式名称の謎が明らかになる、のでしょうか。以下続。(2003.2.20)
いつかマのつく夕暮れに!/角川ビーンズ文庫
 やはりたくましかった村田とともに、シマロンの中でも何とかどうにか行動を決めつつあるユーリ。行方不明の彼を探して出奔するヴォルフラムと、アニシナに振り回されつつ国政を切り回すグウェンダル。シマロンは究極の破壊兵器を入手し、それを使いこなすための鍵を探しているというのだが…。
 ユーリが流れるきっかけを作りまくっていた村田君、やっぱり謎なお人。今回、「出征兵士は重い状況になるほど軽口やギャグを連発する」という話を思い出しつつ読みました。次男がやっぱりどうにも気になります。…ってここで終わりかいな。早く続きを〜。(2003.2.21)



高見広春
バトルロワイアル/太田出版
 中学三年生の一クラス42人が、国の政策「プログラム」により、最後の一人になるまで孤島で殺しあうという設定の小説。新人賞に投稿されたときから物議を醸したものだが、読んで特に気分の悪くなるようなものではないと思う。疑心暗鬼と良心のせめぎあいの中で、一人また一人と減って行く子供たち。色々な意味で一般的な中学生とは言いがたい若干名も含め、各人の個性が際立っている。「自分がこの状況に立たされたらならどうするか」と考えさせられた人も多かろうと思う。私は多分この子達ほど迷わずに国の策に乗ってしまうだろう多分。大変どうでもいいことだが、映画の女子の制服がセーラー服じゃなくって寂しかった…。



たかもり諌也(鷹森諌也)
幽囚の城 シメール・マスター/角川ビーンズ文庫
 幼い頃に両親を亡くし、剣と腕で護衛などの仕事をしているラズは、「人食いの森」の奥深くにある城に向かう任務に雇われる。人食い鬼と化した姫ぎみが住むという朽ちかけた城。そこには伝承そのままに、足に鎖をつけて囚われた姫ぎみがいた。しかし今一人、護衛と名乗る騎士が彼女を守り、人知れぬ生活は平穏に見える。ラズは依頼主を気にしつつも、なんとなく城に逗留することになるのだが…。
 タイトルの「シメール」というのがなんなのかは、本を読みましょう(ちょっとしたネタばれになるので)。森の奥のひっそりとした城に、幽囚の姫ぎみと彼女のための騎士(当然美男美女)という構図がまず美しいです。彼女と騎士の双方を気に入り、二人のために奮迅するラズも巻き込んで世界が動き始め、更に崩壊…したところで第一幕完。とても物騒な終わり方で、次巻の展開が不安。でも楽しみ。(2002.05.05)
双神の宿る王国/角川ビーンズ文庫
 解放された二人とともに旅を続けるラズ。暗黒の竜と魂でつながるキリエを国に迎え取ろうとする竜使いの姉妹と出会って道連れになりながら、故郷を滅ぼした魔術師の手がかりをたどってアムドゥース王国へと向かう。そこでは打ち捨てられた第3王子ルキーオが、失われた半身を取り戻すべく彼らを待ち構えていた。
 詰め込みすぎ。広げた風呂敷がたたむ前に風に吹き飛ばされたと言うべきか。役者が出揃ったところで終わっているのでいかにも残念。(2003.2.4)



竹岡葉月
泣かないでストレイシープ 午後の紅茶と迷子の羊/集英社コバルト文庫
 第一次大戦後。ニューヨークの下町で育った少女セリアは、降って湧いた身内に引き取られてイギリスに渡る。祖父は資産家の貴族だというのだ。慣れない環境の中、執事のロドニーたち使用人たちに支えられ、フェアベリー・マナーの女主人となった彼女だったが…。
 男女逆小公子、執事とお姫様もの! 素直で庶民感覚を無くさないセリアと、彼女を支えつつ微妙に振り回されぎみの若い執事の関係が、微笑ましいながらも緊張感が漂います。ちゃんと貴族の作法に則って戦いの場に臨んだセリアが素敵。
泣かないでストレイシープ 鏡の魔法と黒衣のドレス/集英社コバルト文庫
 テルフォード家の女主人たろうと、園遊会を企画するセリア。しかしロドニーは開催に渋い顔をする。険悪な雰囲気の中、男爵家の令嬢・ラヴィニアが、家出同然に押しかけてきた。
 セリアたくましい! ロドニー影薄いながらもたのもしい!(わっはっは)女の子同士の友情の話と、はじけた園遊会が楽しめます。
泣かないでストレイシープ めぐる聖夜と愛の家/集英社コバルト文庫
 クリスマス間近の冬の日。外出していたロドニーから、突然決別を告げる電報が届く。納得がいかないセリアは、彼の後を追いかけるが…。
 リーと一緒に飛び出すセリア、さすがの行動力です。意外と極端なロドニーと一緒にゆっくり前進。未来を知ることが出来ないのは残念ですが、希望的観測を持てる最終巻。



立原えりか
飾り窓/講談社文庫
 感想はこちら。



谷瑞恵
魔女の結婚/集英社コバルト文庫
 ケルトの巫女姫エレインは、ローマに攻め滅ぼされた部族に殉じ、毒を仰いで自決した。…はずだったが、何故か死ぬこと無く眠り続け、1500年後のヨーロッパに目覚める。魔女狩りが横行する時代、彼女を起こしたのは魔術師のマティアス。突き放したような性格の男だったが、他に当ての無いエレインは、彼にくっついて「運命の恋人」探しに乗り出す。
 エレインの性格が気に入って読みました。こういう天然で悪気なくわがままかつ高飛車で、それでいて気取らない女の子って好きです。魔女狩りの時代にこんなに堂々と巫女が歩いてて良いのかという懸念は徹頭徹尾つきまとい、またエレインの秘めた力についてもどことなく説明不足の感が拭えないのですが、これはおそらく巻を追う毎につまびらかになると期待できます。主要男性4人に女の子一人の逆ハーレム状態ですが、本命は既に見えている…のに、じれったいったらありゃしない。少女小説の醍醐味ですわね。(2002.06.13)
魔女の結婚 運命は祝祭とともに/集英社コバルト文庫
 キリスト復活祭を控えた街。マティアスに言いつけられた読み書きの練習を放り出したエレインは、そこで運命の恋人だと名乗る男に出会う。理想に描く相手にほぼぴったりの相手にエレインはのぼせそうになるが、他でもないマティアスが邪魔に入る。あくまで運命の相手か見極めたいと言い張るエレインだが、やがて彼女自身の持つ魔力に気づき始め…。
 つっけんどんにしながらも、結局エレインを見捨てられないマティアス。彼女の天然な魅力は次々に周囲を巻き込みますが、今回はエレインの秘めた魔力と運命の謎を解明する方が主眼でしょうか。でもこんなにごろごろ求婚者に会えるエレイン、男運は悪くないと思う。数に限定すればだけど。質はまた別。(2002.06.17)
魔女の結婚 聖なる夢魔の郷/集英社コバルト文庫
 マティアスと別行動をとっている最中、盗賊に教われそうになったエレインを、頭目の青年が助ける。運命の相手かと思わせるような台詞にエレインはひかれるが、彼は大事なものを探すために魔女が必要なのだという。マティアスが警戒する古い修道院跡に、そうとは知らずエレインは足を踏み入れる。どこかずれたような空間で、エレインは一人の少女と会うが…。
 今回の相手はどうも、最初から運命の相手ではないとわかってしまうのが少々残念。何にでも足と首を突っ込むエレイン、窮地にひかれるのは魔女の性ですわね。今回罠を張られたのはマティアスでしたが、回避できると思ったのにねえ。がんばれマティアス(と一行)。(2002.06.18)
魔女の結婚 さまよえる水は竜の砦/集英社コバルト文庫
 三つ子の領主の三男の花嫁候補となるエレイン。裏表のはっきりした美少女とともに領主の城に乗り込むが、相手となる三男は女嫌いだった。一方、ともに旅を続けているステファンも城に足を踏み入れる。キリストの聖遺物という槍に呼ばれる彼だったが…。
 第1巻で片がついたかと思わせたステファンのお父上が絡んできます。三つ子の領主の謎、マティアスとエレインの謎と合わせて、とうとうキリスト教社会が出てきたか、という感じ。わざとなのか、舞台背景が微妙にぼやけた印象を受けるため、ヨーロッパのどこなんだろう…などと一瞬考えてしまいます。(2002.06.19)
魔女の結婚 月蝕に時は満ちて/集英社コバルト文庫
 噂に名高い(というか低い)マティアスのお父上が登場。聖遺物を体に取り込んで眠りについたままのステファン。彼を起こす手段を探ろうとするエレインとマティアスだが、たどり着いた街では時間と空間が交錯し、氷の中で眠り続ける巫女が彼らの前に姿を現す。
 今回は同行者の一人、アートの謎が深まりました。それにしてもエレイン。頭の上に乗せた眼鏡を探している人を見る心境…。いくら色々と事情があるとはいえ、「目の前だ目の前! いちいち悩むな捕まえろエレイン!」などとコールしたくなります。そうしたら話が終わってしまうとわかっちゃいるんですが。(2002.07.01)
魔女の結婚 永遠の夢みる園へ/集英社コバルト文庫
 ミシェルと共に「ゆめみの森」を目指すエレイン。しかしエレインが目覚めると、そこは知らない世界だった。マティアスと出会った全てのことが夢だと言われ戸惑うエレイン。彼女を巫女としてあがめる少女に、平和な暮らしのできる別世界へ導いて欲しいといわれるが…。
 ミシェルの悟り編、というと身も蓋もないかしら。キリスト教社会の中にあっても、信仰以上の想いを寄せてくれる人が傍らにいるのは、エレインにとって幸運なことでしょう。すれ違いの多かった旅の一行の歩み寄りが嬉しい。当事者2名の「自覚」も、徐々に徐々に高まっているようです。(2003.1.17)
魔女の結婚 終わらない恋の輪舞/集英社コバルト文庫
 短編3本収録。前2本はエレインとマティアスが出会った当時の話で、3本目のみ最近(?)の話。後書きで作者さんも書かれていますが、こうして続けて読んでみると、たしかにエレインとマティアスの関係が変化しているのがよくわかります。(2003.2.11)
魔女の結婚 熱き血の宝石/集英社コバルト文庫
 ヨセフ騎士修道会に追われて逃げる途中、ソニアという女に助けられる一行。案内された城には、流星車輪の魔術を使う力を持つ宝石があった。エレインはステファンの父親と思しき修道士に出会うが、城主の姦計を察した一行は城を脱出する。しかしマティアスが魔術の火で負傷してしまい…。
 …長い道のりでした。エレインが自覚! マティアスも若返ってますし(ちょっと違うか)登場人物ほぼ全員が前向きに事態に対処する心構えになったと言えましょうか。長く引いてきた設定が方向性を持って動き始めました。(2003.3.12)



ジョン・ダニング
死の蔵書/
 推理小説…多分。古本の発掘屋が路上で何者かに殺害される。捜査に当たる古書愛好家の刑事の奮戦が見物。