フィリップ・K・ディック
アンドロイドは電気羊の夢を見るか?/ハヤカワ文庫
 感想はこちら。



J.ティプトリーJr.
星々の荒野から/ハヤカワ文庫
 SF短編集。多分に皮肉の利いたものが多いが、どの小説も、社会的に立場の弱い人や、これから飛び立とうとする若い人への視点がやさしい。



天河りら
月17世 王のパンドラ/集英社コバルト文庫
 現代の女子高生・璃羽がパラレル世界の18世紀フランスに召喚され、王と二つの世界を救うために「第三の眼」の能力を駆使して「王のパンドラ」を探すという話。パラレル世界ではフランス革命の後もルイ王朝は途絶えず、ルイ16世とマリー・アントワネットの次男であるシャルルが王位についている。だが名君と名高い彼は、政権を狙う黒魔道士によって力を奪われ封印された状態。王家の秘宝であるパンドラを取り戻せば王も目覚めると、彼の忠実な家臣・クウガとユウジンは言うのだが…。
 有無を言わさずつれてこられた挙句意思をかなり無視されている璃羽が気の毒になりますが、いきなりフランスにすっとばされたというのに、戸惑って泣くよりまず怒って次に食事最後にいい男、な彼女がたくましくて笑えます。色々と無茶な設定ですがとりあえずパワフル。にしても、新人さんかと思いきや…さいきなおこさんなのか。なるほどー…。(2002.10.17)
月17世 薔薇の冠/集英社コバルト文庫
 パンドラ「茨の冠」を求めてとある貴族の城の探索に向かう璃羽たち一行。かのジル・ド・レの係累だという城主は典雅な紳士だったが…。
 途中で入るボーイズラブ系描写にとても違和感を覚えます。歴史を多少知っている人には察しがつきすぎる展開も残念。(2002.10.18)
月17世 幻の馬車が来る/集英社コバルト文庫
 ベルサイユデビューを果たした璃羽は、舞踏会でシャルル王と踊る機会を得る。憧れの王とのダンスに浮かれたのもつかの間、シャルルはダンスの最中に倒れてしまう。黒魔術の痕跡を疑うクウガとユウジン。そんな中、首を刈る幽霊馬車が出ると言う噂を聞きつけた彼らは調査に乗り出す。
 前の巻もそうですが、下敷きとなったであろう有名な事件を知っていると、一発で犯人の察しがついてしまいます。今回は一応謎解きめいたものがあったので、もうちょっとひねってほしかった。璃羽も少しずつパワーアップしていますが、周囲にとって国家の大事の前には彼女の感情は二の次、という感じがぬぐえず…ないがしろにされているというか…。(2002.11.10)
月17世 地下迷宮の姫君/集英社コバルト文庫
 シャルル王の姉のマリーが行方不明になり、彼女の滞在先の城へ赴く一行。璃羽は魔女が住むと噂される森に不安を感じるが。
 サブタイトルのおかげで、前半のフェイクがわかってしまって寂しいかも…。相変わらずこき使われている状態の璃羽嬢。今回は彼女を思いやる描写がそれなりにありましたが、クウガの好意の基準てわかりづらいですね。(2003.3.1)