私の罪は三千年

00/07/29 岐阜・郡上八幡 照明寺 Open18:30 Start19:00 End20:30
出演:吉良知彦(Vo,G), 小峰公子(Vo,Aco)



曲目

  1. 双子の星
  2. 遠い音楽
    • MC
  3. エニシダ
  4. 明日ヲ見ル丘
    • MC
  5. 光の庭で
  6. 小さい宇宙
    • MC
  7. オハイオ殺人事件
    • MC
  8. 振り子の部屋
    • MC
  9. 七月の雪
  10. カデンツァの森
    • MC
  11. マーブルスカイ
    • MC
  12. 収穫祭
    • MC
  13. 星ぬ浜

アンコール

  1. EASY GOING
  2. 光降る朝



 岐阜は郡上八幡のお寺でのコンサート。郡上八幡は長良川の支流に沿って広がる街で、とても水と緑の綺麗なところです。免許を持っていない私は、地元から東京・名古屋・美濃太田・郡上八幡と電車で移動しました。片道6時間かかったわ。付き合ってくれた姉上様心からありがとうっ。当日は全町を挙げてのお祭りのさなかだったのでにぎやか。おかげで郡上八幡では宿がいっぱいで、少し離れた郡上大和に宿を取りました。着いてまずは目的地で観光。お城を中心に川とお祭りの伝統を伝える観光名所が各所にありました。けれど一通りめぐったあとは、空気のさわやかさに捕まってついついただの散歩に…。橋(高いんだよ)から川に飛び込んで遊ぶ子たちがいて、面白くて延々眺めてました。

 郡上八幡駅から会場まではタクシーで移動。運転手さんは行き先を告げると「ああ照明寺さんね」と何があるか承知した風でした。開演前にお寺のお庭で腹ごしらえ。有志の方(?)がヤキソバやホットドッグを売っていました。都内のライブでよく会う方がちらほら。その後まだ時間があったので周囲をふらふら散歩しました。緑の濃い田んぼと流れの速い清流。ちゃんと人が住んでいる気配がある土地なのに、自然のほうが当たり前に強い。曇りがちの空がふと切れて、西に傾いた日差しが緑の上に一筋落ちかかった光景を見たとき、ああ神様がいると思いました。いいもの見たなーほんと…。こういう気分でライブに臨むことは滅多にないのでラッキーでした。

 散歩からお寺に戻ると既に入場行列ができていました。ぬかった、と思いましたが、会場はお寺の本堂なので、後ろのほうでも十分ステージは近かったです。畳に敷いた座布団が座席、当然ながらアンプラグド。ご本尊は襖の向こうに閉て切られていらっしゃいましたが、こんなにうるさいのも年に一度と大目に見て下さっている…と思いたい。

 空調は扇風機、障子を開け放して涼を取りつつ、ご住職のきさくなご挨拶でスタート。何故に「私の罪は参千年」なのかの解説がございました。今を過ぎること5年(6年?7年?)前、吉良氏が照明寺さんの裏山に入りこみ、タラの芽を無断で取ってしまったことがご住職にばれてしまったことが発端だそうで。「参千年続くほどの罪」であるため、音楽を奉納して罪滅ぼしを行うということです。しかし「毎年コンサートをしても年数が減らない」そうで、ファンとしちゃラッキーな罪でございます。がんばれ吉良さん。

 どことなくくつろいだ服装の吉良さんと、髪をおろして編みこみを入れたかわいらしい印象の公子さんが登場。「いつものコンサート並み」の曲数と告知があり、座席からは拍手がありました。短いライブかと思ってましたのでラッキー。だんだんと日暮れていく中、ギターによるシンプルな「双子の星」と、同じくギターメインの「遠い音楽」があつらえたようにはまっていました。ですがさわやかな空気と異なりステージ上(座敷ですが)は照明がきつくて暑かったそうで、公子さんが扇風機の首を向けなおしたりなさってました。

 最初のMCはネコカルとのレコーディングの終了報告。N響の一流のチェリストさんたちと共演されて、「絶対拍を持っている人ばかりで」と公子さん。ネコさんのお友達なら芸達者な人でしょう ^_^;) 続いて公子さんが、フランスはアヴィニヨンで買ってきたアコーディオンを手に「エニシダ」と「明日ヲ見ル丘」。吉良さんはギターで伴奏です。続けて3曲は吉良さんのヴォーカル。余計な音(失礼)の入らない「光の庭で」は、夕焼けの風景の中をゆったりと流れてとてもほのぼのとしていました。やっぱりどこか異空間な感じ。

 アヴィニヨンは音楽祭の出演のために行かれたのですが、その際日本でもやったことのないストリートライブを何十回もやったそうです。あちらの方はノリがよい上賛辞を惜しまないので楽しかったとか。けれどその話題に続けてやったのが「振り子の部屋」だったので… ^_^;) これをストリートではやらないでしょうねきっと。「七月の雪」では吉良さんのコーラスワークが聞けました。女声パートも吉良さん。ちょっとつらそうでしたが綺麗な仕上がりでした。「Cadenzaの森」はもう、ギター一本のイントロと、よく伸びた声のセッションが非常に気持ちよかったです。高音が上がりきらないと聞いていてつらい歌ですが、今回はその心配は杞憂でした。これからも鳴り物全部オフで演奏してくれてオッケー! という仕上がりです。

 MCで「無謀な企画」と吉良さん。「収穫祭」と聞いてちょっとびびったのでは私ではないはず。確かにアンプラグドでおまけに二人じゃ無謀だわーと思っていたら、ステージ上からタンバリンやらトライアングルやらベルやらが。公子さんの呼びかけに応えた観客の皆様が受け取って、それこそお祭りのような曲の始まり。吉良さんも公子さんも楽器を手に舞台を降り、客席を歩きながらの演奏です。畳の上で飛び跳ねる観客、メインのメロディーをきっちり抑えるアコーディオンに対しアレンジ入れまくりのギター。いやもう楽しかったです。冷め遣らぬ興奮を抑えるように、ラストの「星ぬ浜」。公子さんが三線を持ち、ギターと一緒に穏やかに。南の歌ですが、どこかのんびりした風情が夜に似合います。

 アンコールは、多分やるだろうなーと思ってましたがお寺や教会ではやっちゃいけないような気がする「Easy Going」。殺すな盗むなの戒に目いっぱい触れてるわ、と思いながら、収穫祭で体力を使い果たしたため座り込んだまま、手拍子で参加させていただきました。ほかにも座ってた方が結構いらしたのですが(珍しい)、立ちたい最前列の方は左右に避けて飛び跳ねてらっしゃいました。ラスト、「光降る朝」でしっとりと締め。この風景にとてもとても似合う曲だと思いました。

 うかつだったのはライブ終了後電車の待ち合わせが長かったことです ^_^;) 都会では望めない見事な星空を拝みつつ会場最寄の相生駅にたどり着き、時刻表を確認したところ、1時間以上来ない。結局タクシーに来てもらって宿に帰りました。名古屋方面に戻られる方はダッシュかけて電車に乗ったようです。でもとにかく、星が綺麗で綺麗で。お寺から駅への道すがら、7月とは思えないさわやかな風に吹かれて、コンサートの余韻にひたりました。

 コンサートレポートというより郡上八幡レポートですね。でも会場だけでも8割方勝利だと思うのよこの企画。




[ZABADAK] [音楽のページ] [ことのはのもり]