開高健
ベトナム戦記/朝日文庫
 ベトナム戦争の取材・見聞録。戦時下の国民生活をどこかユーモラスに語っているが、最前線での取材風景は命懸けである。随所に挿入された写真が文章に劣らぬ説得力を持っている。



加賀乙彦
死刑囚の記録/中公新書
 タイトルどおり、精神科の医師だった加賀氏が刑務所で出会った死刑囚たちの記録。死刑囚について集中的な調査を行ったのは氏が日本で初めてだとのこと。



笠原十九司
南京事件/岩波新書
 感想はこちら。



春日武彦
不幸になりたがる人たち/文春新書
 著者は精神科のお医者さんでいらっしゃる。吉野朔実さんの読書実録マンガでよくお名前を拝見するので、興味があって適当に手にとってみたのだが、正直ちょっとつらい本だった。どうしても世間の標準から外れてしまう人々の実例を数々挙げてあるのだが、客観視して羅列して、さてその次は? というところが曖昧模糊としてつらい。さらにその例が私の感覚では理解の範疇に入っていたりして、実は自分もヘンで不幸になりたがっているのでは? と不安に落とされてしまったりする。さらりと読める割に後味が悪い。逆に自分はヘンなのでは…と悩んでいる人、精神科に足を向ける踏ん切りがつけられるかも。



片倉もとこ
イスラームの日常世界/岩波書店
 イスラム教徒の日常生活を、作者の実体験を交えてつづる。普段あまり触れる事の無い宗教だが、素朴で堅実な人々の素顔が興味深い。かつて植民地であった土地で、パスポートやビザの無用な生活をしていたイスラム教徒の人々が、身分証明をさせられる事になった際に新聞に投稿した文章が心に残った。「人間は本来、男も女もパスポートやビザなど必要ではないのです。もし、所持するなら、このようなものでいいでしょう。名前:アーダムの子、人間。出身地:土。住所:地球。出発港:現世。到着港:来世。出発時間:未知。所持するもの:二メートルの白い布(巡礼服)、良い行い、よい子供たち、知識・学んだこと」。信仰は無理だが良い隣人になりたい。(01.03.13読了)



カタログハウス編
大正時代の身の上相談/筑摩書房
 読売新聞の人生案内を興味深く読んでいる。法律相談や職場のトラブル、子育てや家族関係にいたるまで、日々大小さまざまな相談が掲載される。当たり前に生きている人たちの人生の一部を覗かせてもらっている感覚といえようか。
 この本では、その人生案内の過去の質問、タイトルどおり大正時代のものを集めたもの。質問も回答も世相を反映したものが多く、結婚相手の処女性にこだわる男性の質問とか、仕事に生きる女性の赤裸々な悩みとか…いや人間の根本的な部分はあんまり時代と関係ないのかもしれないと思う一方、真面目で直截的であまりに容赦のない回答にもしばし笑わせてもらった。おすすめ。



R.カッシンガム
訴えてやる!大賞 本当にあった仰天裁判73/ハヤカワ文庫
 ファストフード店で買ったテイクアウトの熱いコーヒーを、車の中で飲もうとしてこぼし、やけどした。ここであなたは、次からはやけどしないよう注意しようと考える。しかしアメリカのステラおばさんはそれにとどまらなかった。自分がやけどをしたのは、店が必要以上に熱いコーヒーを売ったためだとして、裁判を起こしたのだ。
 この本はこうした仰天裁判についての実録集。「親が病院で治療室に運ばれるところを見せられて精神的外傷を負った」娘たち、実際には被害にあっていないのに集団訴訟の末端にぶら下がって賠償金をせしめようとする人たち。訴訟大国アメリカでは、屁理屈・難癖としか言いようのない裁判が日々起こされ、本当に困っている人たちが補償を受ける機会を遅らせ、また司法や医療、保険に対する信頼を失わせている。こうした訴訟の代表例として一躍有名となったステラさんにちなみ、愚かしい訴訟に対して「ステラ賞」なる賞を生み出した筆者によるメールマガジンのまとめ本。日本とは司法の制度が異なるが、裁判員になったときの思考回路の一助となる―――かもしれない。
 しかしお馬鹿もここに極まれり、と思った例。訴訟を起こされることを回避するため、商品に対してしつこいほど書かれている注意書き。―――それにしたって。
「注意:燃える恐れがあります」―――暖炉用の薪
 これはないだろう…。



J.カニング
未解決事件19の謎/社会思想社
 近世から現代までの間に、世界中で起こった奇妙な事件・全容が明らかになっていない事件から、特殊性のつよいものをピックアップした本。(99.10.13読了)



金子史朗
世界の大災害/中公文庫
 1985年以前の世界の代表的な災害についての解説書。日本は過去に学ばない国のように思った。(97.02.05読了)
ソドムとゴモラの滅んだ日/中公文庫
 旧約聖書に出てくる、神の怒りに触れて滅んだ二つの町の調査についてのドキュメント。長く神話といわれていたが、同時代の他の遺跡から交易都市の名を記した文書が発見され、実在が確認された。死海の地質調査、周辺都市との比較等から、大地震で崩壊した可能性が高いと結論づけている。土地柄宗教的に問題が多く、調査が困難らしいががんばって欲しい。



鎌ヶ江管一
普賢、鳴り止まず/集英社文庫
 雲仙普賢岳の噴火災害の記録。著者の鎌ヶ江氏は噴火当時の市長である。行政と市民生活の間で起こる軋轢などが興味深い。自然災害に対し人間は無力だが、それでも起こってしまうことに対する備えに適したテキストだと思う。



鎌田慧
家族が自殺に追い込まれるとき/講談社文庫
 年間自殺者が三万人を超えた。この不況でリストラの対象にされた退職者達の苦悩は察して余りあるが、人の減った職場でノルマを果たしつつ働きつづけなくてはならない社会人たちもまた追いつめられている。リストラを行っていなくとも、はじめから無理のある労働計画のしわ寄せを受ける、異動の引継ぎが上手くいかず仕事の能率が上がらないなど、おそらく身に覚えのある人は多いことだろう。この本では自殺に「追い込まれた」人の勤務状況や家庭生活などを調査している。自殺という選択にいたるまでに示される数々の救難サイン、身体や精神の変化などを示唆してくれる。「働きすぎの身内」がいる人におすすめ。(2002.9.13)
反骨のジャーナリスト/岩波新書
 明治から昭和にかけての10人のジャーナリストの人と作品が紹介される。社会に容易に言論が押しつぶされる時代に優れた業績を残した先達たち。厳密に言うとジャーナリストとはいえない人たちも含まれているが、強権に屈せず、逆風に公然と顔を上げ、言論の力を駆使して戦った人々が皆ジャーナリストのくくりに入っているらしい。報道がマス・コミへと微妙に変化している現代に反骨の人たれと、自身も含めた同業者へ警鐘を鳴らしたものか。各人言論に生き、裏切られてもなお筆をとった、個としての生き様に見ごたえがある。(2003.3.19)



上坂冬子
硫黄島いまだ玉砕せず/文春文庫
 感想はこちら。
遺された妻/中公文庫
 第二次大戦後、死刑を宣告されたBC級戦犯の妻子へのインタビューを元にしたドキュメント。戦犯裁判の問題と、日本がたどっている道の是非を問う本。
巣鴨プリズン13号鉄扉/新潮社
 BC級戦犯として裁かれた人々の裁判記録。主に横浜法廷を中心に、関わった人々の多い事件をとりあげている。(99.10.04読了)
貝になった男〜直江津捕虜収容所事件/文春文庫
 直江津捕虜収容所の捕虜虐待事件に関した戦犯裁判で、部下たちが絞首刑を宣告された中、収容所長だった男は死罪を免れた。最後まで事件に関して口を閉ざした男の足跡を追いながら、裁判の全容をたどる。(99.10.08読了)
生体解剖/中公文庫
 九大医学部で戦時中に起こった生体解剖事件の全容と、その後の戦犯裁判。
生き残った人々(上下)/文春文庫
 現在(1980年代)アメリカで暮らしている被爆者たちを追ったドキュメンタリー。彼らがアメリカに渡った事情は様々だが、皆アメリカと日本の二つの国の狭間に落ちた形になり、長い間救済の手が差し伸べられなかった。第二次大戦以前にアメリカに移住し、生活の基盤がアメリカにあった人、アメリカで生まれてアメリカ国籍をもっていた人も同様である。被爆者への援助を被爆国の日本が一手に引き受けていると言う矛盾もあり、日本の医師団の渡米検診が行われるまで長い紆余曲折を経た。戦後40年たって被爆後遺症が出るものか、という意見もあるらしいが、事実原爆が原因としか思われない身体症状を呈する被爆者も存在する。アメリカの土たらんと人生を送る人々に、アメリカ側からも何らかの便宜を図れないものだろうか。(2002.03.25読了)
宰相夫人の昭和史/文春文庫
 中曽根康弘夫人、鈴木善幸夫人、池田勇人夫人など、昭和の歴代首相の夫人と上坂氏の対談集。上坂氏は丹念なドキュメントを書かれる方だと思うが、この本では相手のいることもあってか、かなり遠慮が見られる。総理大臣という特殊な職業の人の奥方は、物腰柔らかであったりきさくであったりしても、皆が皆「言葉」に対して慎重だというのはわかる。読了して食い足りない感じは否めない。(2002.9.25)



ロバート・カレン
子供達は森に消えた/早川文庫
 1980年代にソビエトで起こった52人(あるいは56人)連続殺人事件のドキュメンタリー。猟奇的な犯行そのものより、アンドロポフ・チェルネンコ・ゴルバチョフと変遷激しかった時代のソビエトで、捜査を険しいものとした社会体制に重点が置かれている。(00.07.11読了)



河原敏明
美智子妃/講談社文庫
 皇室に入った後の美智子皇太子妃(この本の発行は昭和)のドキュメント。家庭内のささいな変化でも「改革」と言われてしまう生活はさぞかし息苦しいことだろう。美談に偏るきらいがある内容なので少々退屈。(97.02.13読了)



川人博
過労自殺/岩波文庫
 不況下の過重労働とリストラの恐怖の狭間で苦しみ、ついに死を選ぶ企業戦士が増加している。責任感が強く生真面目な人ほど追いつめられる傾向が強い。死ぬくらいなら辞めるか休むかしたほうが良いと、傍から見ている者には言えるが、組織の倫理と社会情勢の前には力が弱い。著者はこうした自殺を「過労自殺」と呼ぶ。仕事が原因の死を過労死と認定すると共に、自殺の類例を分析し、社会を挙げて防止するための善後策を提唱する。
 「それが言えればサラリーマンに苦労はないな」という提言も多いのだが、「残業するのは当たり前」「勤め先に迷惑をかけないように」という考え方を当然のものと受け止めている人には是非読んでもらいたい。発想の転換を示している本なので、たとえ実行はできなくても息抜きになるのではないかと思う。(2002.4.7読了)



神田三亀男
原爆に夫を奪われて/岩波新書
 1945年8月6日、広島。自警団、建物疎開に村単位で加わっていた人々の上にも閃光が貫き、後に「寡婦の村」ができあがる。



菊田幸一
日本の刑務所/岩波新書
 名古屋拘置所で、受刑者が看守の暴行によると見られる死を遂げた事件は記憶に新しい。日本の刑務所は国連や人権団体から、再三にわたり人権侵害の警告を受けている。法律上、刑務所と言う正式名称はない―――今でも監獄と言うのだ。1908年に旧憲法下で制定された監獄法を未だに用いているというのだからあきれた話である。
 無期懲役や死刑でない限り、受刑者はいずれ社会に戻る。しかし刑務所は法律上住居と認められないので、服役してしばらくすると元の住居の住民票は抹消されてしまう。実際に住んでいないのだから仕方のない話なのだが、そうすると年金の受給も健康保険の適用もなされなくなる。入所中の労役でいくばくかの賃金を得ることは出来るが、人によっては時給20円弱という薄給。残る賃金の多くは服役者たちの生活費に充てられるのだが、刑務所だけではなく未決拘留囚などの食費などにも回されているという。しかも刑務所側の恣意で、特に理由を示さずとも賃金の没収が可能。これでどう社会復帰しろというのか。また罪を犯せと言わんばかりである。
 他にも皮手錠や、独居房で正座したまま―――伸びをするどころか、手を少し動かしただけでも違反―――看守以外の者と全く会わずに過ごさせる隔離処罰など、ほとんど拷問である。これが近代の刑務所かと目を覆いたくなるような事例が山と載っている。
 そもそも刑務所に入るような犯罪をしなければいい、という意見は正しいだろう。だが罪を犯す人間がゼロになることはまず望めまい。この本を見る限り、彼らを社会に復帰させるための施設として、日本の刑務所は落第である。囚人のために、また現場にいる刑務官の皆さんの努力に報いるためにも、まず制度そのものを見直さなくてはならないのではないか。
 著者は監獄法に詳しい大学教授。過去に服役した経験のある人に多数インタビューされた模様。しかし当たり前かもしれないが、実際に刑務官を勤めた方の意見がほとんどないので、できればそちらの方も伺ってみたいところ。(2003.5.23)



栗原彬編
証言 水俣病/岩波新書
 1996年、大阪を除き、水俣病に罹患した人々と国との和解が成立した。行政上では終止符であるが、それは時間と社会に置き去りにされて老いていく患者たちの妥協の上に成り立ったものであり、現実には彼らの闘病はこれからも続いていく。この本では水俣東京展で行われた被害者による講演を、3年の歳月をかけて補足した、生々しい言葉を紹介している。
 印象的なのは、国と加害企業の責任を問う声だけではなく、加害企業の作った製品を用いて発展していく社会そのものを見つめなおしている姿である。その社会には水俣病の患者たちも含まれている。病気になった体であっても、その会社の製品を使いつづけているということは、この社会の責任から自分たちも逃れられない―――自分たちもその社会そのものではないのかと一人が言う。厳しく冷静な視点で、彼らは自分の体を見つめつづけている。
 書物やマスコミを通じ再三にわたって、状況に目をつぶって社会に迎合する限り、一般の何もしていない人々も公害の加害者の一部だと教えられつづけてきた。しかし私は、一番ひどい被害をこうむった人々が、自分自身に対してその視点を持ちうるとは想像していなかった。読了して頭を殴られたような衝撃を受けている。
 この本1冊で、水俣病の歴史と問題点がほぼわかるようになっている。おすすめ。(2003.5.15)



黒沼克史
少年にわが子を殺された親たち/文春文庫
 もし自分の子供を殺されたとしたら、親たちはどんな行動を取るだろうか。普通はまず犯人逮捕を望み、逮捕後は事件の真相を知りたいと思い、最後に適切な量刑で犯人が裁かれることを期待するだろう。しかし加害者が少年だった場合、あとの二つは望むべくもない。少年法が加害者を守り、被害者の遺族は置き去りにされてしまうことが往々にしてある。公判の日程、下された判決すら知らされない。子供がどうして、どんな状態で殺されたのかも。それを知るべく民事訴訟を起こし、勝訴しても、望みどおりの情報を得られるとは限らない。またそうした法制度の下で加害者がどのように更生するのか、その支援はどのように行われるのかも不明確であり、被害者家族の懸念をあおる。
 この本では少年法の壁に阻まれながら、それでも真実を知るために努力した6つの被害者家族の例を挙げ、少年犯罪を裁く法の欠陥、少年犯罪の被害者を支える法の不備について問題を提起する。民事訴訟で被害者側が裁判費用を捻出する不条理。勝訴して賠償の支払命令が下されたのに、自己破産されて賠償金を払われなかった事例。親たちが訴えるのは金銭のためではなく、ひとえに真実を知りたいがためであり、また加害者の少年たちの更生を求めたいがためである。いつかは社会に出て行かなくてはならない加害者たちのためにも、行政は被害者の声に真摯に耳を傾けるべきだろう。(2003.3.31)



河野義行
「疑惑」は晴れようとも/文春文庫
 「松本サリン事件の犯人とされた私」と副題がつく。1994年夏、あの事件の一連の報道を今でも所々思い出すことができるが、あの報道あの捜査で河野氏を黒だと思わずにいられた一般人はおそらくいるまい。当初農薬の調合間違いと一斉に書き立てられたかの事件は、日本で未曾有のテロ事件の序曲であったことはもはや周知のことである。この本は河野氏が「灰色」のまま過ごした一年を、氏の手記と周囲の人の証言、新聞や週刊誌の記事などを引いて綴っている。「冤罪」への流れが如実に知らされてとても恐ろしい。(02.02.04読了)



小島襄
東京裁判(上)(下)/中公新書
 感想はこちら。(95.11.16/95.11.20読了)
天皇 I〜V/文春文庫
 昭和天皇の「治世」を描く。大正から終戦後の人間宣言まで。昭和天皇に好意的かつ尊敬の念を持った筆致で、紗をかけたような描写に読んでいてときにもどかしく感じる事もあるが、この時代の皇室を知るには良い本かと思う。初心者にもわかりやすい。I:「若き親王」、II:「満州事変」、III:「二・二六事件」、IV:「太平洋戦争」、V:「帝国の終焉」。
太平洋戦争(上)(下)/中公新書
 太平洋戦争のダイジェストの流れ。上巻がガダルカナル島陥落あたりまで。



後藤文康
誤報/岩波新書
 日々読み流されていく新聞の中で、何度も繰り返される誤報。既に大正時代には新聞紙上で誤報と人権の関係について論じられていたのに、なぜか改善されることなく今日にいたっている。この本では報道被害の実例を多数挙げ、著者が長く新聞紙面審議に関わってきた経験から、改善策を模索している。問題点をまとめたい人向け。



近藤絋一
サイゴンの一番長い日/文春文庫
 1975年4月末、ベトナム戦争終結の日。新聞社の特派員として現地に派遣されていた近藤氏の体験を通じたドキュメンタリー。近藤氏の奥様はベトナムの人である。親族の方たちを通じた、ベトナムの一般市民の習慣や動静の観察なども興味深い。
戦火と昏迷の日々/文春文庫
「悲劇のインドシナ」と副題がついている。ベトナムの戦争が終わる頃、カンボジアではポルポト派とクメール・ルージュによる住民粛正と虐殺が始まった。カンボジア人外交官と結婚し、現地で4年の歳月を過ごした日本人女性の体験を通して、圧政下の人々の生活、またこの政策が取られるに至った経緯をさぐる。
したたかな敗者たち/文春文庫
 ベトナム戦争から続くカンボジアの混迷を現地でリアルタイムにつづったドキュメンタリー。語学に堪能な作者ならではの人脈を駆使したレポートは、欧米・近隣との泥沼の諍いも含め、広い視野で率直に書かれている。
目撃者/文春文庫
 近藤氏が亡くなられた後に編纂された本。雑誌などに掲載された随筆と、実体験を元にしたと思われる小説で構成されている。新聞記者としての苦労が、時に皮肉に、時にユーモアを交えて書かれており、読むとタイやベトナムの人々に親しみを覚える。